見上げた赤い鉄の塔は、高くそびえ立っていた。
 都会を過ぎる風が二人の髪を悠々とはためかす。
「行くか」
 冷たい視線を翻し、足音は遠ざかっていった。

「おっかしいなあ」
「どうした、翡海」
「匂い。しなくなっちゃった……」
「なに!?」
 坂の下から見上げてさらに高く映る首都のシンボルカラーは、季節の熱気に起きた蜃気楼でその足下を揺らめかせている。
「いなくなった?」
「分かんない!」
 翡海は頭を押さえた。
「爽透、お前なにか感じるか?」
「なにも。斎太は?」
「同じく」
「えー!!!」
 お手上げとため息をつく二人の後ろで、翡海は悲鳴を上げていた。
「せっかく匂い捕まえたのにぃ!」
「とりあえずだな……」
「この辺りを探そう。ボクはこっちに行くから、斎太はそっちを頼んだ」
「了解。翡海、お前あっちな」
「分かったわよー。もう!」
 走り出そうと三人が背を向けた時だった。その足を止める。
 黒い影が周りを取り囲むビル群のあちらこちらに見えた。
 斎太は頭を掻く。
「いいかげんにしろよ」
「翡海、先に行ってていいよ」
「ヤダ。二人においしいところなんてあげないもん」
「もんはやめろって」
 翡海のその細く長い手を正面に突き出した。
 それに合わせるように爽透はその後ろに下がった。
「斎太、下がった方がいいかも」
 最前線で今にも拳を握って走り出しそうにしていた斎太は、やれやれとその身を引いた。
 翡海の瞳が、エメラルドに変わる。
 
 
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そーすけも活躍させたい。さいたも活躍させたい。でも、ひみちゃんの見せ場を早く!(笑)

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